筋肉痛って何?

2026年09月12日

運動や筋トレをした次の日、

「身体中が痛い…」
「階段を降りるのがつらい…」

そんな経験はありませんか?

久しぶりに運動した翌日や、いつもより激しく身体を動かした後に起こる「筋肉痛」。

よくある症状ですが、

「そもそも、どうして筋肉痛になるの?」

と聞かれると、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、筋肉痛が起こる仕組みについて分かりやすく解説します。

翌日にくる筋肉痛「DOMS」とは?

運動した直後ではなく、数時間〜翌日以降に出てくる筋肉痛を、

遅発性筋肉痛
(DOMS:Delayed Onset Muscle Soreness)

といいます。

特に、

・久しぶりに運動した
・いつもより強い運動をした
・普段やらない動きをした

このような場合に起こりやすくなります。

以前は、運動によって発生した「乳酸が筋肉に溜まることで、翌日に筋肉痛になる」と考えられていました。

しかし現在では、乳酸が翌日以降に起こる筋肉痛(DOMS)の直接的な原因ではないと考えられています。

乳酸は運動によって増加しますが、翌日まで筋肉に溜まり続けているわけではありません。

一方、筋肉痛は運動直後ではなく、時間が経ってから強くなります。

そのため、

「昨日の乳酸が残っているから、今日筋肉が痛い」

という説明では時間的にも合いません。

さらに現在では、乳酸は単なる「疲労物質」ではなく、身体の中でエネルギー源として再利用される重要な物質であることも分かっています。

筋肉痛が起こりやすい「エキセントリック収縮」とは?

筋肉痛は、特にエキセントリック収縮を多く行った後に起こりやすいことが知られています。

エキセントリック収縮とは、

「筋肉が伸ばされながら力を出している状態」

のことです。

例えば、重たいダンベルを持ち上げる動作よりも、ゆっくり下ろす動作

スクワットなら、立ち上がるときよりもゆっくりしゃがんでいく動作

山登りなら、登るときよりも下り坂を歩くときなどです。

筋肉は身体を動かすだけでなく、ブレーキをかけるように働くことがあります。

このような動きでは筋肉に大きな負荷が加わるため、慣れていない運動では特に筋肉痛が起こりやすくなります。

では、筋肉痛はなぜ起こる?

実は筋肉痛が起こる仕組みは、現在でもすべてが完全に解明されているわけではありません。

現在は、慣れていない運動や強い運動によって筋肉やその周囲の組織に機械的なストレスが加わり、その後に起こる修復反応・炎症反応・痛みを感じる神経の変化などが複雑に関係していると考えられています。

そのため、

「筋肉痛=筋肉の繊維が傷ついた痛み」

だけで説明するのも少し単純すぎます。

筋肉痛が強いほど「良いトレーニング」?

筋肉痛が強いと、

「昨日はかなり追い込めた!」
「筋肉が成長している証拠!」

と思うかもしれません。

しかし、筋肉痛の強さと実際の筋損傷の程度は、必ずしも一致しません。

つまり、

筋肉痛が強い=筋肉がたくさん傷ついた
筋肉痛が強い=筋肉が大きくなる

とは限りません。

反対に、筋肉痛がほとんどなくても、トレーニングの効果がないわけではありません。

筋肉痛の強さだけで、トレーニングの良し悪しを判断しないことも大切です。

まとめ

筋肉痛、特に翌日以降に起こるDOMSは、

「乳酸が筋肉に溜まっているから起こる」わけではありません。

慣れていない運動やエキセントリック収縮などによって筋肉や周囲の組織に負荷が加わり、その後のさまざまな反応によって痛みが起こると考えられています。

そして、

「筋肉痛が強い=良いトレーニング」でもありません。

では、筋肉痛になってしまったら、

「ストレッチをした方がいい?」
「お風呂で温める?」
「しっかり寝る?」
「プロテインを飲む?」

どれが一番いいのでしょうか?

次回は、

「筋肉痛を早く回復させるには?」

について、医学的な根拠をもとに解説します。


参考文献

  1. Schwane JA, Watrous BG, Johnson SR, Armstrong RB.
    Is Lactic Acid Related to Delayed-Onset Muscle Soreness?
    The Physician and Sportsmedicine. 1983;11(3):124-131.
  2. Armstrong RB.
    Mechanisms of exercise-induced delayed onset muscular soreness: a brief review.
    Medicine & Science in Sports & Exercise. 1984;16(6):529-538.
  3. Hotfiel T, et al.
    Advances in Delayed-Onset Muscle Soreness (DOMS): Part I: Pathogenesis and Diagnostics.
    Sportverletzung Sportschaden. 2018.
  4. Brooks GA.
    The Science and Translation of Lactate Shuttle Theory.
    Cell Metabolism. 2018;27(4):757-785.